個人的に「(大きさの割に)目立たなさ№1」だと思っているのが、こちら、サンゴ水槽にいるオオクロシカクナマコActinopyga miliaris (体長30㎝ほど、性別不明)。
実は、この個体の飼育歴は長く、沖縄の石垣島からやってきたのは2004年1月なので、そろそろ丸19年になります。
ナマコの寿命がどれぐらいなのか、ほとんどわかっていませんが、少なくとも本種の寿命は20年以上はありそうです。
普段はサンゴの陰に隠れていることが多いのですが、目の前にいても黒い岩が転がっているだけだと思われているのか、ほとんど気付かれることはありません。
ちなみに、おしりの穴にある歯のような「肛歯」が、私の推しポイントです。この肛歯はおしりの穴に魚(カクレウオ)が入らないようにする役目があるのではないかとも考えられています。
先日、このナマコの故郷の方とお話しをしたのですが、この類のナマコは中華食材として需要が高く、乱獲がたたって保護が必要なほど個体数が激減してしまったそうです。
ナマコたちは砂の中に含まれる有機物を餌にしているので、数が少なくなると、砂の状態が悪くなり海草が枯れてしまうそうです。海草は稚魚のすみかでもあるので、ナマコがいなくなると魚も取れなくなるそうです。
このようにナマコは目立たないけれど環境を支える重要な役割を担っているのです。
【飼育研究部 森滝丈也】