先日ご紹介した、ヒメキンカライソギンチャクに強い執着を見せるジンゴロウヤドカリたちの行動に新たな展開がありました。
貝殻を強奪された小柄の個体は、予備水槽へ移動しましたが、今度は別の個体が貝殻を強奪されてしまいました。
奪ったのは、同じ大柄の個体(仮にジャイアンと呼びます)。「お前のものは俺のもの!俺のものは俺のもの!」とばかりに、奪った貝殻を抱え込み、さらにはそこに付いていたイソギンチャクを剥がそうとしています。
すでにイソギンチャクを背負っているにもかかわらず、それを認識していないのか、あるいはイソギンチャク2個体持ちを狙っているのか…?
その後なんと、貝殻を強奪された個体(仮にのび太としましょう)が反撃に出ました!
果敢にも貝殻を奪い返しに向かい、4分間ほど両者一歩も譲らぬ膠着状態…
「どうなるのか…」と思ったその瞬間、のび太がスッと歩脚を伸ばして貝殻の口を探り当て、そのままスルリと内部へ侵入すると、素早く貝ごと退散!
残されたジャイアンは、どこか茫然自失としたように佇んでおり、その表情(?)もまた印象的でした。
現在は、両者とも落ち着きを取り戻し、それぞれの貝殻を背負って同じ水槽で平和に過ごしています。
やはりジンゴロウヤドカリはヒメキンカライソギンチャクに対して非常に高い執着を示すようです。この行動が「スイッチ」が入ったような、一時的な行動なのか、興味あります。
【飼育研究部 森滝丈也】