6月3日に熊野灘の水深200mで採集したヒメエンコウガニの第1触角に不思議な丸いボンボンが付いていた、と先日の飼育日記で紹介しました。
この謎生物は、ひとまずヒゲボンボン(仮称)として正体を調べてみることにしました。
おそらく寄生性の甲殻類じゃないかと予想したのですが、国内外の研究者の方々に訊ねてもなかなか正体が判明しません…
このまま暗礁に乗り上げ、迷宮入りか…と思った矢先、昨日の早朝、アメリカの研究者から有力な情報が入りました!
その研究者からの情報によると、どうやらこのヒゲボンボンの正体は寄生性の等脚類であるアミヤドリムシ類のようです(この仲間はカニなどの第1触角に巻き付くように寄生する習性があるそうです)。※等脚類はダイオウグソクムシやダンゴムシの仲間。
おまけにこの研究者さんは、別の海域で採集したこの仲間(2種)の新種記載論文を今まさに投稿中だったらしく、驚きのタイミングだよ!と言われました。これら2種と、今回のヒメエンコウガニのヒゲボンボンは、採集海域と宿主が全く異なるので別種の可能性もありますね。論文が出るのが今から楽しみです。
ひとまずこのまま飼育を続けて、生態を少しでも知ることができれば…と考えています。
【飼育研究部 森滝丈也】