ちょうど1週間前になりますが、オオグソクムシの比較認知科学・動物行動学の研究者の方と話をする機会がありました。
水槽を紹介しがてら3時間ほどお話をさせていただいたのですが、いやぁ〜楽しかった。
非常に刺激的で有意義な時間を過ごすことができました。
ここで詳細を説明することは避けますが
・オオグソクムシは底質に巣穴を掘る習性を持つ
・底質の表面に障害物を置くと巣穴の長さが長くなる
・長くなると巣穴の途中が広くなり、そこで方向転換する
・ある水温では、決まった時間に行動が活発化する
・結構頻繁に脱皮をする(当館ではあまり脱皮しませんし、しても上手くいかないことがほとんど)
等々、私の知らなかったオオグソクムシの習性を色々と聞くことができ、今後、展示をする上でたくさんのヒントを得られました。
研究者と水族館の飼育員、異なる立場で得られた情報を交換することは良いですね。
色々と刺激になります。
さて。
去年の8月に当館で生まれたオオグソクムシのマンカ幼生ですが、そのうちの1個体が12月に脱皮したとお伝えしました。
https://aquarium.co.jp/diary/archives/13644
ところが、残念なことに、その直後にその個体は死んでしまい…
現在、残っているのは2匹のみ。
2匹は調子は良さそうですが。
今朝、見回り中にそのマンカ幼生を飼育している腰高シャーレ中に何やら、見慣れぬものを発見…
取り上げてよくよく観察してみると、やっぱり…マンカが脱ぎ捨てた脱皮殻です!
前回と異なり、脱皮後の個体もかわらず元気そう。
脱皮の影響はないようです。
拾い上げた脱皮殻を観察してみると、第2触角(左)と歩脚(右上)と尾扇(右下)がはっきりと確認できました。
これはちょっと意外…
実はオオグソクムシを含む等脚類は、脱皮をする際、初めにからだの後半分を脱ぎ捨て、のちに前半分を脱ぐ習性を持つことが知られています。
この脱皮殻から推測すれば、オオグソクムシのマンカ幼生は、どうやら最初のうちは半分ずつではなく、一気に全部脱ぎ捨ててしまうようです。
詳細は追って調べてみなければいけませんが、まずは備忘録としてここに記録しておきます。