飼育生物種類数日本一の鳥羽水族館。
飼育できない(でも知って欲しい!)生きものは飼育日記を通じて紹介するようにしています。
そのひとつがニハイチュウ。
ニハイチュウは体長数百μm〜数mmほどの小さな生物で、タコやイカの腎嚢(腎臓)で栄養豊富な尿を餌に生活しています(ちなみにニハイチュウは、宿主もそれを食べる人間にも悪さはしません。ご安心ください)
これは熊野灘のタコから見つかった頭でっかちニハイチュウ。名前はまだない。
さて。
ニハイチュウは通常、腎嚢中で無性的に増えていますが、個体密度が高くなると、有性生殖で増えるようになります。幼生は尿とともに海水中に泳ぎ出て、新しい宿主に寄生すると考えられています。
それじゃ、ニハイチュウ幼生がいない水槽内で孵化して育ったタコ・イカには、ニハイチュウは寄生していないのでは…?
先日、それを確認する機会がありました。
卵から孵化したコブシメが死亡したので、その腎嚢を観察させてもらったのです。
どうやら「水槽内で育つとニハイチュウは寄生しない」説は正しそうです(さらに検証が必要ですが)
コブシメに寄生するニハイチュウとは種類は違いますが、寄生していればこんな感じ。ニョロニョロしているものが全てニハイチュウです。
【飼育研究部 森滝丈也】