昨日の朝、へんな生きもの研究所に行くとクマサカガイがひっくり返っていました。
軟体部を伸ばして懸命に元に戻ろうとしていましたが…難しそう。
軟体部の足盤を吸着させて踏ん張らないと、このサイズの貝殻をひっくり返すのは無理でしょう。
かなり頑張っていましたが…人の手で元に戻してあげました。
海底ではどうしているのだろう?
足がかりになるようなものが多い環境にすんでいるのでしょうか?
貝殻が堆積する窪地のような場所に生息すると聞いたことがありますが…
と、今回はこの話題だけではなく…。
このクマサカガイには小さなヒトデが付着しています(矢印)
トヤマヤツデヒトデCalasterias toyamensis Hayashi, 1975 です。
三重県では本種の正式な採集記録は報告されていませんが、熊野灘の沖合底引き網採集では時々採集されています。
種名からわかるように元々は富山湾でのみ確認されていたヒトデでしたが、1983年におこなわれた秋田県男鹿半島周辺の動物相調査で初めて富山湾以外にも分布することが判明したそうです。
そして2010年には宮城県志津川でも発見(太平洋側初確認)
その後相模湾からも見つかっているようです。
サイズが小さく採集例も少ないこともあって、分布域ははっきりしないようですが、見つかった場所を時系列で並べていくと、富山→秋田→宮城→神奈川…と少しずつ三重県に接近してきているように思えます(笑)
いやいや、もちろんそんな訳はなく、小さなヒトデなので、確認されていないだけで各地に分布しているはずでしょうが。
他の水族館ではなかなか見かけないヒトデなので、へんな生きもの研究所でぜひ探して見てください。
【飼育研究部 森滝丈也】