イソギンチャクの中にはヤドカリが背負う貝殻に乗って生活する種類がいます。
生物の共生関係として広く知られていますが、ヤドカリは成長に伴って貝殻を引っ越すときにこのイソギンチャクも新しい貝殻に移し替えます。
そんな共生関係がさらに強くなった例として、ヤドカリが住む殻まで作ってしまうキンカライソギンチャクが知られています。
既に紹介しましたが、先日の沖合底引き網採集でそのキンカライソギンチャクが採集できました。初採集で、なかなか珍しいイソギンチャクです。
このイソギンチャクはヤドカリが背負う貝を覆うと、それを溶かして、自分のからだからキチン質を分泌して貝殻をみたいなものを作ります。
それは金色で巻き貝の殻にそっくり。だから金殻イソギンチャクなのですね。
ところで、手元の図鑑を見ているとこんな記述が…
「このイソギンチャクは光に当たると金色の貝殻から離れ、暗くすると再び付着することが知られている」
へぇ…と思っていたのですが。
確かに…
最初はヤドカリが入った殻は全く見えていませんでしたが、日に日にイソギンチャクが移動して、今は金色の殻がかなり見えてきています。
これはまた暗闇に戻さないといけないかも知れませんねぇ。
【飼育研究部 森滝丈也】