企画展「大発見!ワクドキ深海アドベンチャー ~熊野灘から見る深世界~」では、目玉のタイワンダイオウグソクムシに加え、熊野灘で採集された実物の深海生物21種・約30点を展示しています。過酷な環境に適応し、独自の進化を遂げた深海生物たちの驚きと発見に満ちた世界をお楽しみください。
おすすめは、今年2月に水深430mと740mで採集したアカエラミノウミウシ属の一種とホソウミグモ。どちらも非常に小さく、繊細な生きものなので、展示公開まで飼育できたのは幸運でした。
ウミウシはムキアサリも食べますが、水槽内では同じ海域で採集されたフウセンイソギンチャクも食べるようです。
このイソギンチャクの体壁はまるで“皮”や“かさぶた”のように硬くなっていますが、ウミウシはそこを削るようにして食べるため、食後はまるで皮がむけたようになります。
ホソウミグモもイソギンチャクの皮やその表面に付いたヒドロ虫などを食べている様子が見られます。
深海のドローン調査では、このフウセンイソギンチャクは多く見られ、こうした刺胞動物が深海の小動物たちの命を支えていることを実感します。
皆さんも、水槽をのぞいて、そんな彼らの深海の暮らしぶりに思いを巡らせてみてください。
【飼育研究部 森滝丈也】