みんな大好き?スイクチムシ (笑)
スイクチムシは主にウミシダで見られる寄生生物で、見かけからは想像つかないですが実はゴカイなど同じ多毛類(環形動物)の一員。
昨年は熊野灘の沖合底引き網で採集したヒトデ3種(ウデナガゴカクヒトデ、ヒメヒトデの一種、カンムリヒトデ)から未記載種と思われるAsteriomyzostomum属スイクチムシを相次いで見つけましたが、その中でも個人的に特にかわいいと思うのがヒメヒトデのスイクチムシ。
先日も何気なく顕微鏡で観察していてその可愛らしさに胸を撃ち抜かれてしましました…はい、もう何を言ってんだか、ですね(笑)
でも本当です。
このスイクチムシはヒメヒトデの胃から伸びる幽門盲嚢の根元あたりに潜り込むように寄生する習性があるようです(矢印)
ストッキングにパンケーキを入れたみたいな(違うか?)
ヒトデの幽門盲嚢には消化腺があるので、どうしてスイクチムシは消化されないのか?不思議です。
(ちなみに解剖はヒトデの死後におこなっています)
さて。
このスイクチムシは他種と比較して突出した口が特徴のようです。
もう一つの特徴は体が鞍型だということ。
だから腹ばいになっても完全には扁平になりません。
それでクネクネと動く姿はモモンガやエイの動きにも似て…います。
そして動きは意外とアクティブ。
こんな風に(個人的に)かなりキュートなスイクチムシですが…貴重なサンプルなので標本に固定します(ガラス板を乗せて強制的に扁平にして固定しました)
これでヒメヒトデのスイクチムシの標本は5個体目、6個体目になります。
【飼育研究部 森滝丈也】