タッチング水槽のバイガイの中にトゲツノヤドカリが1匹いることに気付きました。ヤドカリの中でもなかなか渋いツラ構え。う~ん、カッコ良いですね。普通種ですが、さっそく、へんな生きもの研究所にスカウトすることにしました。
そう、このヤドカリは、スカウトに値する「ヘンな」特徴があるのです。それは、鉗脚(ハサミ脚)に、ヤドカリコテイソギンチャクを付ける習性を持つこと(矢印)
このイソギンチャクは、剣道などで使われる防具「小手」のように、まるで手の甲を守るように鉗脚にくっついています。
ヤドカリが貝殻の中に引っ込むと、鉗脚の掌部分がフタのようになるなど、まさに進化の妙を感じる共生関係です。
さらに驚くべきは、トゲツノヤドカリの鉗脚がイソギンチャクが付着しやすい形に変化している点です。鉗脚全体は細かなツブツブで覆われていますが、イソギンチャクが付く部分だけが平らでツルッとしています。実に巧妙な適応ですね。
ヤドカリとイソギンチャクの共生は他にもいくつかのパターンがありますが、トゲツノヤドカリとヤドカリコテイソギンチャクの関係は非常にユニークで唯一無二です。
【飼育研究部 森滝丈也】






