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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

ニハイチュウからタコを知る

先日、入館した深海性の小型タコ(セビロダコ?)が死亡しました。

小型でかわいい種類ですが、飼育は難しく、状態が良いと思っていてもすぐに死んでしましいます。

残念ですが、飼育技術を高めなければ。

ところで。

あまり手に入らない珍しいタコが死ぬと、まずやるのはニハイチュウのチェック。

 

ニハイチュウ(二胚動物)は、タコやコウイカ類の腎嚢に寄生する体長数百μm〜数mmの小さな生物。

多細胞生物でありながら体を構成する細胞は40個以下、器官の分化もなく体のつくりははとてもシンプル。

興味深いのは、この仲間は種特異性を持ち、寄主(タコ・コウイカ類)ごとに異なる種類が見つかること。

 

特にタコの場合は寄生率が高く、全種類の8割に複数種のニハイチュウが寄生していると考えられるので…知られていない種類を含めると全部で1000種ぐらいは存在するんじゃないかと考えられているようです。

タコの腎嚢中で生活していますが、特に悪さをするわけでもないようで、寄生というよりも共生関係にあるようです。

 

このタコは、過去に何度か解剖したことがあるので見覚えのある特有なニハイチュウはすぐに見つかりました。ウジャウジャいるので観察は簡単。

特に好きなニハイチュウは、コイツ。この頭でっかちな重量感、粗暴な雰囲気、実に良いですね。

50目盛が0.4㎜

こんな種類も。

細長いのもいて、このタコで確認しているメンバーは現在のところ、この3種類。

お馴染みの面々…と言うか、特有のニハイチュウを見ると

「あぁ、やっぱりこいつらがいた。やっぱりこのタコだもんねぇ…(順序が逆ですね)」と思ったり(笑)

まるで、そこにすむ人たちの顔ぶれを見て土地を知る、みたいな。構成メンバーの顔触れを見てアイドルグループをイメージする、みたいな(違うか)

 

そんなニハイチュウとタコの関係、興味深いものがあります。

【飼育研究部 森滝丈也】

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