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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

アンキカリグスのはなし

アンキカリグスのはなし

先日、個人的に興味深い論文を目にしました。読んだ論文は昨年、出版されたもので、インド洋(アンダマン諸島)のオウムガイの体表に寄生するアンキカリグス(Anchicaligus nautili)の報告でした。

このアンキカリグスは1896年にニューブリテン島(ニューギニア東方)のオウムガイの体表からはじめて見つかり、その後、1980年にパラオオウムガイから見つかった個体をもとに再記載された珍しいコペポーダです(1属1種)。大きなレンズを持った眼が特徴的です。

水族館に入館するオウムガイからも時々見つかります。これは漏斗の中に付いていました。

でも、よくよく見ると、パラオオウムガイに付着する個体とフィリピンのオウムガイに付着する個体とは形態が明らかに異なる…ように見えます。

パラオオウムガイのアンキカリグス↓

フィリピン産オウムガイのアンキカリグス↓

論文に載っていたインド洋のアンキカリグスも、パラオとフィリピンの個体とは形態が違っているように見えました。やはりアンキカリグスは複数種に分けられるんじゃないかと、論文を読みつつぼんやり考えていました。

※現時点でAnchicaligus nautiliはニューブリテン、フィリピン、パラオ、アンダマンの4地点から報告されているだけで、ニューカレドニアのオオベソオウムガイから見つかっていません。

【飼育研究部 森滝丈也】

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