先日の熊野灘沖合底引き網採集でアラレナガニシの貝殻に付着するヤドリスナギンチャクが1つだけ採集できました。
スナギンチャクの仲間は体を補強するために体壁中に砂粒を埋め込み、群体性の種類が多いのが特徴。そんな特徴でざっくりとイソギンチャク類と区別できます。
そんなスナギンチャク類の中で貝などと共生するグループがヤドリスナギンチャクの仲間。この仲間は、まだまだ分類学的な研究が進んでいないようです。本種も今のところ未記載種(“新種”候補生)です。
今、興味があるのはこのヤドリスナギンチャクの宿主であるアラレナガニシの不思議な行動です。
アラレナガニシの腹足の前端は二股に分かれていますが、以前飼育していた個体は体を大きくねじりつつ、二股になった腹足でスナギンチャクをしごく…ような動きを見せていました。
この行動は、貝が積極的にヤドリスナギンチャクをケアしているようにも見えます(もちろん、その逆の可能性もあります)。
もしかしたら想像以上に両者は密接な関係を築いているかもしれません…。
前回は写真だけだったので、次はこの行動を動画で押さえようと目論んでいます。
【飼育研究部 森滝丈也】