話は5月1日にさかのぼります。
私は休みでしたが、夕方自宅パソコンを見ると「深海のイイジマフクロウニの仲間?と深海タコの仲間とヒトデが入りました!」と地元の業者さんからのメールが。
添付画像を見ると何やら珍しそうなフクロウ二ではないですか。
そして、そのままパパッと飼育日記に掲載!これが2日午前の話。
その日の午後のことです。
知り合いの若きウニ研究者Tさんから連絡がありました。
「飼育日記のアカフクロウニ画像を見ましたが、全体的にフクロウニではない雰囲気がするように感じました…」
「思い当たるのはガンガゼ類に近縁なMicropyga tuberculataというウニです…」と。
うわ~やってしまった。
十分に確認しないまますっかりフクロウニの仲間だと思いこんでいましたよ。反省…
翌日、確認すると… 確かにこのウニ、フクロウニ類ではありません。
フクロウニ類であれば口の周り(周口膜)にも棘がありますが、このウニはありません。
それにしてもかなり特徴的な形の歯です。何を食べているのでしょう…
そしてTさんからこのMicropyga属はかなり特徴的なウニだと教えてもらいました。
まず①このウニはこれまでに日本では採集記録がない。②未だに所属がはっきりせず、2010年にはこのウニだけでMicropygoida目という単一目が設立された。
驚きました。
さらに③この属のウニは頂上部付近の一部の管足の先端が傘状に変形するという特徴があるそうです。これは他の正形類(いわゆるウニ型のウニ)には見られない非常にユニークな特徴ですが、この管足がそうでしょうか?
それにしても私の画像を見ただけで、このウニだと気付いたTさんはさすがです。
感謝です。
生体観察する機会が滅多にないウニなので、できるだけ長く飼育して生態データを集めたいのですが…既に棘が脱落し始めているので厳しいかなぁ。
【飼育研究部 森滝丈也】