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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

ツノモチダコとニハイチュウ

底引き網で採集したツノモチダコをへんな生きもの研究所(ヌタウナギ水槽)で展示しました。この種類にしては小型個体でなかなかかわいい。

目の上の棘状突起がどこか小悪魔チックです(ハロウィンだし)

実は、このツノモチダコもそうですが、タコやコウイカ類の腎臓中にはニハイチュウという寄生生物が見つかります。

ニハイチュウは体長数百μm〜数mmの小さな生物。

宿主特異性があるので宿主(タコ・コウイカ類)ごとに異なる種類が見つかります。

宿主ごとに異なるニハイチュウの顔ぶれを見比べるのは面白いですね。

 

これは以前確認したツノモチダコで見つかった新種と思われるニハイチュウ(トバニハイチュウの仮称がついています)

さて。

底引き網採集では、研究者の依頼でこのニハイチュウを調べるためにタコとコウイカ類のサンプリングもおこないました。

(深海のタコやコウイカ類にはまだまだ知られていないニハイチュウの仲間がウヨウヨいます)

対象のツノモチダコは食用として捕獲されるので、いくつか分けて頂きました。

 

そして昨日。

研究者が水族館に来館し、採集したタコとコウイカ類を解剖して腎臓に寄生するニハイチュウをサンプリング。

個体数が多かったので、解剖とサンプリングに2時間ちょっとかかりました。

新種を記載するためにはそれぞれの成長段階、2種類いる幼生の形態も押さえないといけないので、タコの標本も数多く必要になります。

やはり漸進帯、深海性のタコは入手しにくいそうなので、ニハイチュウ研究のために水族館も可能な限り協力していきたいですね。

 

実は、このツノモチダコのうち1つは私が漁師さんからおみやげ(食用)としていただいたもの。

サンプル数が多い方が良いだろうと、食べずに試料提供したのです。

 

腎臓と組織の一部だけをサンプリングして、あとは処分したわけですが、少しでも食べてあげればよかったかな…などと思いながら帰宅しました。

夕飯は底引き網で獲れたノドグロの塩焼き(和名アカムツ)でした!これもおみやげでいただいたもの。

こちらはたいへん美味くいただきました。ごちそうさま。

熊野灘に感謝です。

【飼育研究部 森滝丈也】

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