熊野灘の水深280m以深に生息するカガミモチウニ。この飼育日記でもなかなか人気の高い可愛いウニです。
興味深いのはその不思議な生態。ウニの仲間としては珍しく海底に沈んだ木を食べ、さらに、大小2個体が上下に「鏡餅」のように重なります。
熱心な読者さんもう皆さんご存じでしょう。
そう、このカガミモチウニは下になるのは必ずメスで、上に乗るのはオスなのです。重なった個体は共に性成熟に達しているので、この行動は繁殖行動だと考えています。
2015年に初めてこの行動を確認してから6年、数日間離れることはあってもまた直ぐに重なり、いつでも水槽の中で「鏡餅」をいくつも見ることができましたが…今年はダメ。5月に最後の鏡餅を確認したきり、全く重なることがなくなりました。個体数も少しずつ減っています。
どうやら来年の正月は鏡餅なしになりそうです。
実は、今年は5月に初めてカガミモチウニの産卵を確認しています。もしかしたらこの産卵がきっかけだったのかもしれません(確認していませんが、一斉に産卵したのかも)。
もしかしたら繁殖終了で寿命を迎えつつあるのかもしれません。
また、底曳き網採集にでかけて可愛いカガミモチウニを補充したいと思っているので(狙って採集できるモノではありませんが)その時までもう少しお待ち下さい。
【飼育研究部 森滝丈也】