オスのオウムガイは成長に伴って口の左側にある3本の触手が大きく成長してスぺイデックス(spadix)と呼ばれる特殊な器官(交接腕)に変化します。
オスはこのspadixを使ってメスに精子(精包)を渡します。そういう意味では、オウムガイ(オス)は左利きだと言えるかもしれません。
ところが、どういうわけか左側ではなく、右側がspadixになる個体もいるのです。イカやタコなどでは交接腕の左右性は変化しませんが、オウムガイでは割と逆転個体を見かけます。
特にオオベソオウムガイではその割合が高く、例えば2008年以降に入館した25個体のオスのうち、9個体(36%)が右spadixでした。
また、パラオオウムガイだと2017年以降に入館した9個体のオスのうち、2個体(22%)でしたが、何故かオウムガイの場合は、ほとんどがノーマルである左側に交接腕があるので、逆転現象の出現率は種類によって差があるのかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】