熊野灘の漸深海帯から見つかり、去年3月に新種記載されたイッスンボウシウロコムシ。メスの背中に小さなオス(矮雄)が隠れる興味深い生態を持ちます。ただ、通常はヤドカリが背負う貝殻の中に隠れていることがほとんどなので、生態を観察するのは難しい(上画像、矢印)
そこで、へんな生きもの研究所では小水槽にイッスンボウシウロコムシだけを入れて展示しています。
今飼育しているのは、オスのいない(シングルさん)とオスを背負った(カップルさん)の3匹。
さて、その小水槽に、先日たまたま入り込んだのはマツカワガイ。
数日気に留めていなかったのですが、ふと見るとマツカワガイの板状突起にイッスンボウシウロコムシが乗っかっているじゃないですか。それも2匹とも(正確には3匹)。
表はメスだけのシングルさん、裏側には矮雄付きカップルさん。
お互い、同じような場所に陣取り、移動することもなく落ち着いています。
マツカワガイ自体は、本来、イッスンボウシウロコムシがいる深度より少し浅い水深に生息する貝なので、自然界ではこの2種は出会うことはないはず。ですが、マツカワガイの板状突起がジャストフィットしたようですね(やはり、イッスンボウシウロコムシは貝殻に対する選択性が高いようです)
【飼育研究部 森滝丈也】