熊野灘の沖合底引き網で採集されるヒメヤドカリスナギンチャクは、2019年に新種記載されたヤドカリスナギンチャクEpizoanthus xenomorphoideusに比べると小型で、群体の幅は2-3㎝ほどしかありません(群体性なので根元はお互いにつながっています)。
ヒメヤドカリスナギンチャクはアカモントゲオキヤドカリと共生する場合が多いですね。ヤドカリスナギンチャクと同じく、ヤドカリが背負う巻貝の上に付着すると貝殻を覆いながら成長していくようです。
へんな生きもの研究所でも、つい先日までヒメヤドカリスナギンチャクを背負ったアカモントゲオキヤドカリを飼育していました。ところが、先日、このヤドカリはスナギンチャクを脱ぎ捨てて、別の貝殻に引っ越してしまったのです…。
以前も、捨てられたヒメヤドカリスナギンチャクを見かけたことがあるので、どうやらアカモントゲオキヤドカリが背負っているスナギンチャクを放棄することは珍しくなさそうです。両者の関係は絶対的なものではないようですね。
さて、この捨てられたヒメヤドカリスナギンチャクですが、誰かが再利用することはあるのか…?少し気になります。
【飼育研究部 森滝丈也】