テンプライソギンチャク はカイメンと共生する珍しい生態を持つイソギンチャクです。2006年に神奈川県三浦市の磯で初めて見つかり、今も新潟県の佐渡島、鳥羽を合わせた3地域でしか確認されていません。去年の春に新種記載されたことを機に、へんな生きもの研究所で常設展示をおこなっています。
観察例が少ないので生態はわからない事ばかり。去年、「イモムシのような分裂個体」を形成して無性生殖で増えることが初めて明らかになりました。
増え方はこんな感じ。夕方、イソギンチャクの下部が膨れはじめると、翌日の朝までにちぎれてマンジュウ型に変化して、その後イモムシ状に伸びます(矢印)。
分裂個体はゆっくりと匍匐しながら別のカイメンに移動してイソギンチャクに変化します。
去年の観察で、テンプライソギンチャクはどんどん分裂個体を形成し、それがイソギンチャクに変化すると数日後にはまた分裂個体を形成しはじめることがわかったのですが、海から採集してきた直後のしばらくの間だけは、分裂個体を作り出しませんでした(理由は不明)
今年採集したテンプラたちもそうでしたが、本日、ようやく複数の分裂個体の出現を確認しました。
今回は採集から12日後の出現でした(去年も採集から12日後でした…偶然?)
観察を続けます。
【飼育研究部 森滝丈也】