私は長い間、アシカやセイウチなど海獣類の飼育担当をしていますが、今まで飼育係をやっていて一番嬉しかった瞬間は、新しい生命の誕生を目の当たりにした時です。私たち飼育係は「水族館の動物の命」を預かっていることを忘れてはいけません。また、動物の飼育環境や健康状態、飼育水の温度調整、餌の鮮度などをしっかりと管理しなければ動物を長期飼育することなどできません。
ミナミアフリカオットセイの赤ちゃん
先月の9月15日にはジュゴンの「セレナ」が長期飼育世界記録を更新しました。また、バイカルアザラシの「ナターシャ」も長期飼育日本記録を更新中で37年以上もの期間、鳥羽水で飼育を続けているのです。私は、どちらも過去に飼育したことのある個体なので、どこまで記録を伸ばすことができるのかとても楽しみです。
哺乳動物の飼育で大切な事は、動物の体調変化をいち早く察知して、獣医と連携して対応することです。そこは飼育係の観察力がとても重要となります。また、治療時などは「人事を尽くして天命を待つ」ことも少なくはないのです。場合によっては、24時間対応する事もあります。
私たち飼育係は動物が産まれた時の産声を、決して忘れてはならないと思います。これからも、皆さんに良い報告ができるよう頑張ります。
飼育研究部 かわぐち