餌をとらずに1ヶ月あまり卵を守っていましたが、残念ながら孵化を見届けることなく力尽きてしまいました…
それが母タコの運命だとは言え、やはり少々悲しい。明日から私が代わりをしなくては…
それに加えてもう一つ大事なことが。
このタコの種類を明らかにしなくてはいけません。
すぐに答えは出ないかもしれませんが、ひとまず本体は標本に…
合わせて腎嚢のニハイチュウを観察してみました。
宿主によって異なるニハイチュウが見つかるので、タコの種類を知る手掛かりになるかも知れません。
今回見つかったのどうやら2種類。
からだ(軸細胞)の中には滴虫型幼生が!尿中にもたくさん泳ぎまわっていました(目玉のように見える「屈光体」を持つのが滴虫型幼生)
ニハイチュウは通常、腎嚢中で無性的に増えていますが、個体密度が高くなると有性生殖で増えるようになります。有性生殖で生じた滴虫型幼生は尿とともに海水中に泳ぎ出て、新しい宿主に寄生すると考えられています。
今回は滴虫型幼生がひときわたくさん泳ぎ回っているようでした。宿主の死が近いため、旅立つ準備をしていたのかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】