以前も紹介した、熊野灘の水深300mで採集した謎の「黄色い球」
黄色い球はツノガイの殻に付着していて、そのツノガイの中にはホシムシの仲間が共生?しています。
なかなか興味深いシェアハウス状態ですが依然正体は不明のまま… 少し状態が変化したように見えたので、昨日初めて顕微鏡下で観察してみました。
が、結局何も解明できず…
さて。
作業の合間の観察だったので、次の観察まで黄色の球は一時的に冷蔵庫の中(7℃)に保管しておいたのですが、次に取り出すとツノガイの中にいたホシムシが吻を伸ばして、自切していました(矢印)
生きたホシムシは吻を出し入れするので、詳細の観察はなかなか難しい。
これはちょうど良い機会です。
急遽、予定変更。
ホシムシの吻の表面を観察することにしました。
すると…あるものに目が留まりました(矢印)
これは内肛動物じゃないですか!(喜)
ひとりで興奮MAX! うぉ~見るだけでテンションが上がる…
4つ確認できました。 高さ0.1-.02mmほどですね(小さい!)
実物を目にする機会は少なく、研究者もほとんどいない内肛動物ですが、このブログでは時々紹介しています。
ダイオウグソクムシに付着するロクソソメラやオニダルマオコゼに付着していたロクソミトラなどもこの仲間。
以前、研究者に問い合わせたときに「このマイナーな生物でこれだけの観察をされる方はなかなかいません。かなり色々と観察されていることとお見受けいたします」との返事を頂いたことがありますが、個人的に非常に好きな動物群なのです。
内肛動物は世界で150種類ほどが確認されているようですが、まだまだ見つかっていない種類も多いそうです。
互いが細い根っこ(走根)でつながる群体性のグループと、一つ一つが独立して生活する単体性のグループがあって、特に私が好きなのは単体性の方ですが、今回見つけたコイツはどちらだろう…? 何となく単体性の雰囲気を醸し出していますが。
などと、ひとりで興奮しつつ観察していると、部長から「今度は何を見ているの?」を声をかけられました。
伝えにくいなぁと思いつつ数秒間沈黙…内肛動物に対する熱い思いを伝えようかと思いましたが自制して(笑)
「…内肛動物ですね」と一言。
部長も…それ以上は聞かないでおこう(笑)みたいなことを言っていましたし、言ってもたぶん伝わらないでしょうね(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】