スイクチムシの事を書いたらやはりシダムシを書かないわけにはいかないですね。
シダムシはヒトデの体腔に寄生する甲殻類で、日本からは7種類が知られていますが、これまでに熊野灘の漸深帯(水深300m付近)からは報告がありませんでした。
それが、今シーズンの沖合底引き網漁で採集したユミヘリゴカクヒトデから初めて見つかりました(これまでに10匹のヒトデから計12匹のシダムシが見つかっています)
こちらがそれ。
これはかなり珍しいシダムシで、これまでに150匹以上のウデナガゴカクヒトデを解剖していますが、見つかったのはこの1個体だけ。
体色は異なりますが上のユミヘリゴカクヒトデのシダムシと姿が似ています。
見つかった数が極端に少ないので、もしかしたらユミヘリゴカクヒトデのシダムシと同種である可能性も否定できないかも。
要調査です(ちなみに寄主であるウデナガゴカクヒトデとユミヘリゴカクヒトデは同じ属です)
続いてLithosoma japonica(和名なし)のシダムシ。
ホストはこれまでにたった4匹しか捕獲記録のないとても珍しいヒトデですが、その中の1匹からこのシダムシが見つかりました。
以上3種のシダムシのホストはゴカクヒトデ科。
これに加えて最近、種類不明のモミジガイ科ヒトデからも見つかりました。
ゴカクヒトデ科のシダムシと少し雰囲気が違いますね。
シダムシを探していてスイクチムシを見つけたり、またその逆パターンも。
共にどんどん知られていない種類が見つかります。
シダムシもスイクチムシもなかなか奥が深そうです。
【飼育研究部 森滝丈也】