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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

サンゴ水槽の電球交換

今日は1年9か月ぶりにサンゴ水槽のメタルハライド電球を全て新替えしました。

ビッカビッカです。まぶしくて目が痛いほど。

 

メタルハライドランプは発熱量も大きいので、水槽上部はかなりの温度。

一灯ずつ電球を交換しているだけで汗が噴き出て、まるでサウナ。

上半身はだかで作業していました(笑)

 

本当は1年ごとに新替えするのが理想ですが、電球ひとつひとつがかなり高価ですし…

その高いメタルハライド球(1000w)が4つの水槽で19個、400wの電球が18個…

でも、電球は1年に1回は交換したい。

ヒトの目から見れば、交換前でも充分な明るさに感じられますが、サンゴの声を聞けば徐々に光が不足してきているのは明らか。

毎年、電球を変えて1年近く経過するころには、サンゴが全体的にどことなく茶色くなって鮮やかな色が徐々に失われてきたのがわかります。

最悪、病気が発生することも…

それが照明を変えると、短期間のうちに見違えるぐらいピッカピカの色鮮やかなサンゴになります。

と言うのも、サンゴ(造礁サンゴ)は光合成をするために体の中に褐虫藻を住まわせていますが、光が弱くなると光合成能力を上げようと褐虫藻の密度を増加させるようなのです。それでサンゴ全体が地味に茶色く見えてしまうのです。

強い光をあててやれば、褐虫藻が適正な密度に抑えられてサンゴの本来の鮮やかな色が目立ってくる、そんな仕組みのようです。 

さらに、光が強くなればサンゴの色素自体も増加するようです。

サンゴの鮮やかな色のもとは「蛍光色素」と「非蛍光色素」ですが、「蛍光色素」には有害な紫外線を緑色の光に変換するGFP(緑色蛍光蛋白質)や、同じく有害な波長を赤い光に変換するRFP(赤色蛍光蛋白質)などがあります。

電球を新替えすると紫外線量が増えてこれらの蛍光蛋白質も増えるので、サンゴの緑や赤が鮮やかに映えるようになります。

 

一方の「非蛍光色素 」は例えばスギノキミドリイシが持つ青い色素などですが、これは強過ぎる光の一部をはね返して身を守る役割があるそうですね。

この色素も強い光があたるとどんどん作られるので、結果サンゴは素晴らしく青くなるのです。

色鮮やかに変化したサンゴの水槽に潜ると、サンゴの喜ぶ声がわんわんと聞こえてくるようで、潜っているこちらの気持ちも良くなるほどです。

【飼育研究部 森滝丈也】

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