伊勢志摩の海ゾーンのイカ水槽に大きなフジツボが付着させたガザミが1個体います。
付着しているフジツボはガザミ類(ワタリガニの仲間)に多く見られる「ガザミフジツボ」という種類。
よく見ると右のハサミにもいますね。
こいつは生きたカニの甲羅に付着して生活する種類ですが、似た生活様式のフジツボにはウミガメの甲羅に付着する「カメフジツボ」がいます。
実は、両種は姿形が異なることから長らく別種だと考えられてきました。
ところが…研究者が遺伝子のレベルで調べてみると…どうやら両種は同じ種類であるとの結果が出たそうです…
私も最近このことを知って驚きました。
ところで、マナティーの体表に付着する「マナティーフジツボ」という種類もいるのですが、どうやらこれも同種の可能性が高いそうです…
このフジツボは、付着する相手によって形態が変化するようです(驚)
一方のハサミに付着する個体の周囲には、小さな個体が付着しています。
これは矮雄と呼ばれる小型の個体です。
基本的にフジツボ類は雌雄同体で、近隣の個体がお互いにペニスを伸ばして交尾して繁殖しますが、このガザミフジツボ(カメフジツボ)の場合は、違った繁殖戦略を取っています。
自らの成長を抑えて精子提供にだけ特化した小型個体(矮雄)が現れるのです。
例えば、チョウチンアンコウなども同じ繁殖戦略ですね。
面白いなぁ。
もう1つ。このガザミはアブミウスエボシもたくさん付着しています。
フジツボとエボシガイの仲間、地味ですが結構好きです。