昨日、へんな生きもの研究所で飼育中のヒゲウミシダが死亡したので、以前から気になっていた腕のコブ(矢印)を切開してみました。中からスイクチムシの一種が見つかりました。
このスイクチムシは、見かけからは想像つきませんが、実はゴカイなど同じ多毛類(環形動物)の一員です。
170種ほどいるほとんどがウミユリ類(ウミシダ類)に寄生していて、ごく一部がヒトデ、クモヒトデ類から報告されています。熊野灘からは珍しいスイクチムシ類が見つかるので、現在標本を集めています。
今回見つけたスイクチムシは、二つ折りのタコスみたいな姿をしている Endomyzostoma属の一種(エンドミゾストマ属)。
背面からこの属は遺伝子解析からスイクチムシ類の祖先形だと考えられているようですが、このあたりも興味をそそられますね。
実は、ヒゲウミシダから確認したのは、これで3例目。
Endomyzostoma属は内部寄生性で、ウミシダの腕にシスト(コブ)を作ってその中に潜んでいるようですが、過去2例は外部寄生していたように見えました。
こちらが3月に確認した2例目のEndomyzostoma属のようす。
寄生状態が異なる(ように見えた)のは、成長段階か、種類の違いによるものかもしれません。
比較するとこれほど大きさが違っています。
【飼育研究部 森滝丈也】