ニチリンヒトデの好物はイトマキヒトデだとする研究報告があります。
イトマキヒトデは捕食者であるニチリンヒトデが近づくとそのニオイを感知して逃げ出すそうです。
これは面白い。
ところが、熊野灘で採集されたニチリンヒトデにイトマキヒトデを与えてみたことがあるのですが、これが両者とも全くの無反応…何故か?
熊野灘でニチリンヒトデが分布するのは水深300m付近、そこにはイトマキヒトデはいません。熊野灘では餌となっていないので、イトマキヒトデも無反応だったのでは?生息域が重なる北海道や東北のイトマキヒトデがニチリンヒトデに対して忌避行動を示すのではないでしょうか?行動に地域差があるなら面白い。
それでは、熊野灘のニチリンヒトデは何を食べているのか?
実は、これまでにムキアサリやオキアミを与えてもほとんど食べず、ずっと謎でした。
それが、先日、沖合底引き網で採集した瀕死のヒメカンテンナマコを水槽の中に入れておいたところ…
翌日水槽を見てびっくり!
ニチリンヒトデがヒメカンテンナマコを丸飲みしているじゃないですか!胃がパンパン!
ニチリンヒトデの摂餌は初確認。どうやら熊野灘のニチリンヒトデはナマコを餌にしている可能性が高そうです。
興味深い!
【飼育研究部 森滝丈也】