オオベソオウムガイは南太平洋のニューカレドニア周辺だけに生息する種類で、国内では鳥羽水族館だけで飼育されている貴重種。
そのオオベソオウムガイの卵の発生が進んでいることに、先日気付きました。
これまでにオオベソオウムガイは61匹が孵化に成功しているのですが(オウムガイは162匹)ここ数年はご無沙汰で、発生自体を確認するのも久しぶりです。
現在の飼育個体は2013年に姉妹館でもあるニューカレドニアのラグーン水族館から譲渡していただいたものですが、10個体のうちメスは3個体だけでした。
継続的な孵化に成功するためには、メスが少ないのはかなり厳しい…実際、メスは全て死に絶えてしまい現在残っているのはオスが4個体だけです。
今年1月に産卵した2ヶが最後の卵。
もうこの個体群では孵化はあきらめていたのですが…
発生が進んでいました!期待が高まります。
オウムガイ類の卵は外殻と内殻が二重になっています。この中に卵黄があります。
指先にそっと力を入れると、内殻がパカッと開き、内部の胚を見ることができます(こうしても胚には支障はありません)
白く見えるのが胚殻で、黒く見えるのは初期の胚殻の跡(cicatrix)、カサブタみたいなものです。
もっと観察してみたいですが、これ以上はダメ…自粛しましょう。
今回確認したのは産卵から6ヶ月経過した胚なので、下の画像と同程度の成長具合だと思われます(2013年の胚、発生途中で死亡)
元々、胚の足原基は5対ですが、この時期には細かく分化し始めます(赤矢印)
何とか無事に孵化まで到達してもらいたいものです。
孵化まであと2、3ヶ月はかかります。
【飼育研究部 森滝丈也】