先日、熊野灘沖合で行った沖合い底引き網採集で、辺縁部に大小2つの貝が付着したユミヘリゴカクヒトデを採集しました。
ヒトデに付いていたのは「ウラシマカタベ」という寄生性の貝。本種を生きた状態で採集したのは私自身、初めてだったので、ヒトデとともに、へんな生きもの研究所内のアパート水槽に収容しました。
このウラシマカタベはいつもオスメスが寄り添うように付着しています(大きさはメスの殻径で8㎜ほど)。大きな方はメスで小さな方がオス。
一旦、寄生すると移動することがないので、繁殖のために常に寄り添っていると思われます。
また、図鑑などでは本種は「ダイオウゴカクヒトデに寄生する」と記述されていますが、今回の宿主はユミヘリゴカクヒトデ。
たまたま寄生相手を間違えたのか、それとも報告がないだけなのか…どちらなのでしょう?少し気になります。
そう言えば、以前、もしかしたらウラシマカタベは貝類愛好家の間で高値が付いているのでは?と思って値段を調べてみたことがありますが、期待に反して、実際の市場価格は500〜600円程度でした。残念。
でも、改めて拡大して観察してみると、なかなか美しい形をしていますし、雌雄ペアで寄り添う姿にはどこかロマンチックな趣も感じられますよね。
【飼育研究部 森滝丈也】