内肛動物のロクソソマ科の仲間が好きです。
ちなみに私だけが変人?なわけではなくて(笑)、水族館によく来られるお客様の中にも熱心なファンの方がいますよ。
へんな生きもの研究所で見られるのはダイオウグソクムシ№5の胸脚に付着したロクソソメラ属の一種と、本日紹介するロクソミトラ属の一種(ちょこちょこ飼育日記で紹介していますね)
何度も紹介しているのでロクソソマ科の解説は割愛しますが、国内の水族館でロクソソマ科を常時見られる水族館はおそらく鳥羽だけ。
特にロクソミトラの仲間は世界で8種ほどしか知られておらず、魚体の付着も報告例がない珍しいもの。
それに加えて、肉眼でもなんとか観察ができるサイズ(高さ1.2㎜ほど)なので、水族館として貴重な「展示生物」なのです。
99%気づかれていませんが。
【脱皮のたびに一掃】
でも、オニダルマオコゼが脱皮するごとに皮と一緒にロクソミトラは脱ぎ捨てられ、今は魚体にかろうじて少数が観察できるだけ…
このままだと絶えてしまうかもと少し心配。
【エラ付近で増殖】
どうにか増えてくれないものか…そう思いながら観察していた昨日、オニダルマオコゼのエラ付近にまとまった数を発見!
ここはエラの開閉で水流が発生する場所。
微小な生物・有機物を濾過して捕食するロクソミトラが増殖するためには、やはり適度にゆるい水流が必要らしい。
【ゆるい水流がカギ】
実はオニダルマオコゼの体表以外にもガラス面やアクリル製パイプの表面に付着が確認できます。
ところが、それ以外の底砂などでは全く観察されない…。
ツルツルな無機質とデコボコの生物(別の水槽ではアカイセエビにも付着していました)全く正反対のタイプの基質だけに付着するとは…
少し不思議にも思えますが、実は水中のツルツルの面には乱流ではなくゆっくりとした一定の水流(層流)が生じるのです。
その環境がおそらく濾過食性のロクソミトラにとって生育好環境なのでしょう。
反対に、動きの少ない生物の体表では動くたびにわずかな水流が生じるので、生育に適しているのでは?と推測します。
つまり、砂粒や岩だとそれ自体が動かないため、適度な水流ができず乱流にもさらされてしまうので、ロクソミトラにとってダメ環境なのでは?
【ゆるい水流ができる場所】
このオニダルマオコゼの水槽で、ロクソミトラの生育に適した「ゆるい水流ができる場所」は他にはないでしょうか…?
お?右側にある水が流れ落ちてくるアクリルパイプ…
水と一緒に空気が入り込み、上に上がっていきます。
その時に適度な水流ができています…
【新たなゆらゆら帝国!】
ありました!(矢印・水槽裏から撮影)
かなりまとまった個体数がいる、ゆらゆら帝国!
ここで業務連絡…
スタッフのみなさん、間違ってもガラス面とパイプの掃除はしないでくださいよぉ(笑)