現在開催中の企画展「大発見!ワクドキ深海アドベンチャー ~熊野灘から見る深世界~」では、深海で採集された貴重な生物標本を多数展示しています。
一部は東海大学博物館からお借りした魚類標本で、ラベルには採集場所・日時・採集者・環境情報、分類情報や整理番号などが記録されています。
ラベルは標本がどのように採集され、どんな意味を持つのかを未来へ伝える「情報の鍵」として、学術的にも非常に重要です。
一方で、今回展示している鳥羽水族館所蔵の多くの標本は、まだラベルが付いていません。これは、今回の企画展に合わせて「採集してすぐに展示した」いわば“採って出し標本”であるためです。
しかし、どれも非常に貴重な資料です。
例えば、2020年6月に熊野灘の水深800mから底曳き網で採集されたナガヅエエソ。腹鰭と尾鰭を使って海底で三脚のように立って流れてくる餌を待つ興味深い生態が知られています。
こちらは今年の1月に採集した三重県で4例目となるリュウグウノツカイ。
4月に三重大の実習船で採集したカンテンダコなど。
いずれも他の施設ではほとんど見られない貴重な標本ばかりです。
現在展示されている多くは「未登録標本」なので、今後は一つひとつ丁寧に情報を整理し、標本として正式に登録・ラベル作成を進めていく必要があります。標本は記録を残すことで、未来の研究や教育に役立てることができるのです。
【飼育研究部 森滝丈也】






