先日の底曳き網採集でトリカジカを採集しました。
本種は水深500mあたりの海底に生息する深海魚で、大きな頭部と目が特徴的。
…ですが、今回はトリカジカ自身の話題ではなく、これまでにも何度か紹介しているトリカジカエラモグリの話題。
このトリカジカエラモグリElthusa moritakii はウオノエの一種で、トリカジカの鰓腔内に寄生します。
画像は2個体のトリカジカから取り出したトリカジカエラモグリ(オスと大きなメスのペアでいることがほとんどです)。
さて、このトリカジカエラモグリのメスは抱卵していることが多いのですが、今回はちょうど孵化した幼生を保育中だったようです。
予備水槽に収容後4日目の朝、多量のマンカ幼生を放出しました。
おぉ!トリカジカエラモグリのマンカ幼生なんて、見るのは初めてです!体長3㎜ほどで鮮やかな黄色が美しい!
拡大して観察すると、第5腹肢(おそらく)が尾びれのように大きく広がった不思議な姿をしていました。これを使って活発に泳ぎまわるようです。
そして自然界では幼生は宿主となるトリカジカの幼魚に取り付き、鰓腔内で成長していくと思われます(最初に取り付いた個体がメスに、2番目の個体がオスになります)。
水槽の中では新たな宿主に寄生することはできませんが、今回は深海の神秘に感動したので、紹介させてもらいました。
【飼育研究部 森滝丈也】