本種は今から9年前、2012年2月5日に志摩市御座沖水深80 mに仕掛けたサメ刺網で採集されました(現在は展示していません)
水族館に持ち帰り、画像を飼育日記に掲載するとすぐに東京大学(当時)の研究者から和名のない珍しい種類だと連絡が入りました。その後、Astroceras coniunctumであると正式に同定され、高知県で採集された個体と共に再記載されてオニツノモヅルの和名が新しく提唱されたのです。
この件をきっかけに、飼育日記に掲載する私の拙文が(節分ではなく・笑)新種記載や和名提唱などの研究結果につながると確信しました。それからは、論文のタネになるだろうと些細な話題も飼育日記に書き残すようにしています。
個人的な話になりますが、1999年から書き始めて私がこれまでに一番多く書いたのが2015年の282回です。こんな風に多く書いた年はやはり結果につながるようで、この年に飼育日記で紹介した熊野灘の深海生物のうち4種が去年相次いで新種記載されました。
この中で印象深いのはユミヘリゴカクノシダムシ。学名がDendrogaster tobasuiiとなり、鳥羽水の名が付いたことですね。
さぁ、今年は飼育日記の記録更新を目指しますよ。
【鳥羽水族館 飼育研究部 森滝丈也】