へんな生きもの研究所では熊野灘の水深140mで採集したトヤマヤツデヒトデCalasterias toyamensisを飼育中です。
このヒトデは種名からわかるように元々は富山湾でのみ確認されていたヒトデでしたが、1983年におこなわれた秋田県男鹿半島周辺の動物相調査で初めて富山湾以外にも分布することが判明し、2010年には宮城県志津川でも発見(太平洋側初確認)され、その後相模湾からも見つかったそうです。三重県では2015年に初めて確認しました。
採集例が少ないので分布域ははっきりしないようですが、確認されていないだけで各地に分布していると思われます。
このヒトデは体を半分に分裂させ、それぞれから新しい腕が再生し、2匹に増える習性があります。
昨日も分裂中の個体を見かけました。
ところが、今回の個体は再生中の腕がまだ短いのにもかかわらず、分裂していました。ちょっと想定外。また、この個体は生殖巣(卵)がかなり発達していて、別に分裂しなくても有性生殖(放卵放精)で増えることができたんじゃ?とも思ったり。
観察例が少ないので、トヤマヤツデヒトデでは普通のことなのかもしれませんが…
観察記録を蓄積していけば、何か判明するかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】