2013年から沖合底引き網漁船に乗せていただき、熊野灘にどのような生物が分布しているか調査しています。
底引き網で獲れた漁獲物の中から目当てのものを探していきますが、どんどん仕分けしていく漁師さんの隙間を縫っての採集なので、時間との勝負。同時に珍しそうな生物や目当ての生物を瞬時に見つける眼力が必要です。
こちらは一人で乗ることが多いので、できるだけ見落とさないように目を光らせます(笑)
昨日はその沖合底引き網採集でした。1番の収穫は…こちら。
体色から私はアカトラ(仮)と呼んでいるタコの一種です。本種はおそらく少なくとも日本では記録されていない種類のようです。
今回採集したのは尾鷲沖水深290mで、性別はメス。さっそく予備水槽へ収容。
現在予備水槽で飼育中の個体はオスなので、同サイズの雌雄が揃ったことになります。
タコの種類を特定することはかなり難しいのですが、性成熟に達したオスにミズダコ属の特徴が現れたので、ミズダコに近縁ではないかと推測していますが…今後の研究結果が楽しみです。
今回採集したメスは、しばらく先住のオスと一緒に予備水槽で飼育します。
【飼育研究部 森滝丈也】