今朝、ずっと棚に置いてあったイバラガニの標本に ふと目が留まりました。
これは2013年に熊野灘(おそらく水深300mあたり)で採集された個体ですが、どうも左側の鰓室が膨れているような…
これってエビヤドリムシが寄生しているんじゃ…
ちなみに、エビヤドリムシの仲間はオオグソクムシやダイオウグソクムシと同じ等脚類です。
4年前に入館した時は全く気付いていませんでした。きっと、この4年間で私の寄生虫を見つける能力がスキルアップしたのでしょう(笑)
さっそく、そっと甲羅を外してみると、案の定、左の鰓室にエビヤドリムシの仲間がいました!
通常、エビヤドリムシのメスの腹部には小さなオスがくっついているので、てっきりこの小型個体がオスだと思ったのですが(オスにしてはサイズかなり大きいのですが)、取り出して腹側をよく観察してみると…
大小それぞれの腹に小さなオスがくっついているじゃないですか!
つまり、今回のイバラガニは2組のエビヤドリムシが同時に寄生していたことになります。
こんなパターンは初めて確認しました。
とても興味深い事例なので、こういったパターンの寄生報告があるか、調べてみたいと思います。
こちらが小さなオス(矢印)が付着したメス(大型個体)。腹側から撮影しました。
こちらはメス(小型個体)。矢印の先に小さなオスが付着しています。
【飼育研究部 森滝丈也】