前回、4年前に採集したイバラガニの中から2組のエビヤドリムシが見つけたよ!という話題を紹介しました。
その中でお伝えしたように、エビヤドリムシ類とはエビやヤドカリの鰓腔や腹部に寄生する等脚類(ダンゴムシの仲間)です。
以前から興味がありましたが、どうやら今、私の周辺でエビヤドリムシの「風」が吹いているようです(笑)。風向きが良いので、こちらが熱心に探さなくても向こうから近寄ってくるという感覚すらありますね。
と言うのも、実は、今日は熊野灘の沖合底引き網漁船に乗せていただいて水深300mあたりの深海生物を採集していましたが、船のデッキで貝殻から抜け落ちたジンゴロウヤドカリを見つけて、何気なく手に取ると、そこにエビヤドリムシが!(笑)
これはヤドカリの腹部に寄生するAthelginae亜科の珍しいエビヤドリムシで、ちょうど1年前に初めて見つけて、これで2例目になります。
情報の少ない種類なので、ただいま調査中。
腹側から見るとこんな感じ。
など、と珍エビヤドリムシの再会に興奮していましたが、もう一つ、帰宅前に観察しておかなければいけない生物がいました。
水深280-290mで採集した初めて見るエビジャコの仲間です。見つけた時に気付いていたのですが、このエビジャコはどうも無眼(目が無い)のよう。
これを確認しなくては…
さっそく顕微鏡をのぞいてみれば、確かに目がない。そして抱えている卵のサイズが大きいのも印象的。
…ん?
違う箇所に目が留まりました。
うお!エビヤドリムシがいるじゃないですか!(上の個体の腹部に付着しています)
同じ日に何気なく採集したヤドカリとエビ(エビジャコ)からエビヤドリムシが2種類も見つかるとは…
もう、エビヤドリムシの方から寄ってきているとしか思えないほど(笑)
エビヤドリムシ類に関する情報は少ないので、きちんと調べて記録を残しておかなければ…
【飼育研究部 森滝丈也】