昨日は熊野灘の沖合底引き網採集に出かけていましたが、シーズンなのか、タカアシガニがたくさん(水族館には持ち帰りませんでしたが)
水深300mあたりで曳いた4回の網でタカアシガニが捕れていましたね。
漁を終え、港に戻る途中、ふと甲板を見ると…
網のそばにヤドカリが転がっていました。既に死んでいますが、メダマホンヤドカリのようです。指先ほどの小さなヤドカリです。
私の場合、こういう小さな生きものにふと目が行くときは、結構な確率で何かが付いているのです。
いわゆる「呼ばれている」といった感覚(笑)
腹に黄色の房状のものが!フクロムシ(ナガフクロムシ)です!
このナガフクロムシの仲間は初めて見ました。
フクロムシはこんな姿をしていますが、タカアシガニやメダマホンヤドカリと同じ甲殻類です。
カニやエビ、ヤドカリ、それから自分と同じ仲間であるフジツボなどに寄生します。
ナガフクロムシの仲間はヤドカリに寄生しますが、よく知られた種はソーセージのような姿をしています。
ちなみに、袋状に見えている部分がフクロムシのメス(体節構造も付属肢も退化)
オス(精巣以外の器官がほとんど退化)はサイズが小さく、メスの体の中に潜んでいるそうです。
フクロムシの仲間は研究者が少ないようで、わからないことばかり。
ざっと調べただけですが、今回のナガフクロムシも該当しそうな種類には たどり着けませんでした。
もしかしたらまだ知られていない種類かも知れません。
それにしても、甲殻類の多様性にはいつも驚かされます(今 研究を進めているシダムシも甲殻類です)
【飼育研究部 森滝丈也】