以前のブログで紹介した、ホシムシの吻に付着していたロクソソマの仲間(熊野灘 水深300mで採集)
どうやら今回見つけたロクソソマはホシムシの吻の根本あたりを選んで付着しているようです。
こちらの画像はホシムシの吻と、それに付着したロクソソマです(矢印)
左側、吻の先端に口があります。右は体幹部とつながっていました。
吻の表面には細かな突起があるので、ロクソソマが付着しているのがちょうど吻の付け根あたりだとわかります。
ちなみに、ホシムシの吻は「陥入吻」と呼ばれ、牽引筋で体の内側に引っ張り込まれる構造をしています。
少しわかりにくいので私のウェットスーツを使って説明してみますと(笑)
左の袖が陥入吻が引っ込んだ状態(イメージ)で、吻が飛び出ると右袖のようになります。
うまく想像できたでしょうか?
ロクソソマの仲間は水中の懸濁物を餌とするので、水流が生じやすい場所(宿主)を選択すると考えられています(必ずしも全てが共生種というわけではありませんが)
ところが、泥などに潜って生活するホシムシが宿主だと、体の表面に共生するのは難しそうです。
この深海のホシムシだと泥のつまったツノガイの中に潜り込んでいたりして、さらに難易度高そうだし。
今回見つけたロクソソマが付着していた場所は矢印の辺りと思われます。
この吻の付け根なら、ホシムシが餌を食べようと吻を出し入れするたびに水流が生まれるはずです。
おまけに普段は内側に引っ込んでいるので危険も回避できそうだし、これはロクソソマにとって良物件のはず。
こんな風に小さな生きものの暮らしぶりを想像すると楽しくなってきます。
【飼育研究部 森滝丈也】