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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

タバネサンゴ6年目

コーラルリーフダイビングゾーンの育成水槽で飼育中のタバネサンゴが、生まれてからそろそろ6年になります(2010.7.10孵化)

なかなかきれいな個体でサンゴの中で特にお気に入り。

水槽上面から撮影

実は、このタバネサンゴは当館で繁殖したものではなく、和歌山県の串本海中公園センターさんで繁殖した個体を4年ほど前に譲渡していただいたもの。

串本海中公園センター(以下、串本さんと略)ではこれまでに何種もの造礁性サンゴの繁殖に成功しており、タバネサンゴも20年近く前に繁殖に成功しています。

 

水槽内でサンゴがどのように成長するのかまだまだデータ不足なので、比較してみました。

よく目立つ綺麗な蛍光グリーンのポリプ4つ(a~d)を目印にして去年と今年の成長具合を比較してみました。

この1年のうちにbとdのポリプは消失してしまったようです。

また、群体右側のポリプ(褐色)の方がより成長速度が速いようです。褐虫藻が多く光合成が盛んだからでしょうか?

串本さんの報告では、水槽内で育ったタバネサンゴは孵化後7年で産卵を開始(配偶子放出)し、その時の群体のポリプ数は6-21個、直径が60-80mmだったそうです(ポリプは画像の丸い部分、サンゴはポリプが分裂して数が増え、成長します)

それに比べると当館のタバネサンゴ孵化後6年ですが、かなりサイズが大きく、ポリプ数も多い。

これは飼育環境の違いが成長の差に出たのではないかと思われます(当館の水槽の方が明るい?)

 

自然の海ではさらに成長がはやいと思われるので、野生のタバネサンゴであれば孵化後7年も経過せずに産卵開始(配偶子放出)する可能性も予想されます。

でも、串本さんより成長がはやい当館のタバネサンゴがまだ産卵していないことからすると、やはり野生でも産卵開始まで7年はかかるのかも…

飼育条件の異なる水槽と自然の海の、成長速度や産卵開始時期を比較すると面白いでしょうね。

 

今年か来年あたり、うまくすると当館のタバネサンゴも産卵するかもしれません。楽しみです。

(ただし残念ながら、タバネサンゴは雌雄同体ですが、群体が1つなので授精はしません)

【飼育研究部 森滝丈也】

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