水族館初記録の【不明タコ4号】として紹介しましたが…
過去の画像を見返すと、2013年に初めて入館したイッカクダコとそっくりです。
ちなみに、イッカクダコは他のタコと異なり、左の第3腕が交接腕なのが大きな特徴(他の種類は右第3腕)
この腕を使ってメスに精子を渡します。
この個体(№1)はオスだったので、この左の交接腕が種を特定する決め手になりました。
眼の形状だけではなく他の特徴も合致しています。
というわけで、この【不明タコ4号】は2013年3月と5月に入館して以来、3年ぶりとなる3個体目のイッカクダコだと判断しました。
熊野灘から水族館にやってくるタコの中では比較的珍しい種類ですが、残念ながら新種ではありません。
さて。
今シーズンから本格的に研究者と一緒にタコの腎嚢に寄生するニハイチュウという生物の調査を開始しています。
漸深帯のタコはあまり研究が進んでいないこともあって次々と新種ニハイチュウが見つかっています(ニハイチュウは寄生するタコによって種類が決まっています)
このイッカクダコも過去に一度だけ研究者に見てもらったことがあります。2013年5月採集のイッカクダコ№2です。
今回【不明タコ】がイッカクダコだと判明した直後、またまた沖合底引き網採集で同種のタコが採集できたので(4個体目)
前回№2から見つかったニハイチュウと種類が合致したそうです(複数見つかり全て新種)
寄生するニハイチュウから見ても同じ種類のタコかどうか推測できるわけですね。
タコとニハイチュウの関係も興味深いです。
【飼育研究部 森滝丈也】