展示生物の採集はもちろんですが、今年は研究者の方々と色々なミッションがあるので、月1ペースの頻度で熊野灘の沖合底引き網漁船に乗せていただき、生物採集に出かけています。
目的のひとつはシダムシ探し。
シダムシはヒトデに寄生する甲殻類(フジツボに比較的近縁)で、日本から正式に報告されているのは3種類ですが、その他に未記載種が4種類ほど知られています。
去年の秋、深海(漸深帯)に生息するユミヘリゴカクヒトデにシダムシの寄生を初めて確認したので「チームシダムシ」の一員としてせっせと標本を集めているのです。
昨日も、先月採集してしばらく飼育していたユミヘリゴカクヒトデが死亡したので解剖しました。
この個体は、あることを根拠に生時からシダムシの寄生を予想していたのですが、やはりビンゴ!
オレンジ色のものがシダムシ。体腔のほとんどを占めています。
でも、今回は今までのものと少し違う印象。
少しひょろ長いようですし、ところどころ確認できる黄変部が気になります…
また、この個体には2匹のシダムシが同時に寄生していました(識別番号№11,№12)
これまでに調べたユミヘリゴカクヒトデ27個体のうち、シダムシに寄生されていたものは10個体。
2匹のシダムシに寄生されていたのはこれで2例目ですが、これほどサイズの違う個体の同居は初めてです。
別のヒトデでも複数個体の寄生は確認したことがありますが、これほどサイズが異なるパターンはなかったので、何となく奇妙な気が(予感?)します。
このようなシダ状の形をしたものはメスなので、大きさの違いは性差ではなく発達状態の異なる個体だと思われますが…
観察例が増えるにつれて、新知見も増えていきます。
今は情報をザックリと集めている状態なので、シダムシの秘密を明らかにするには、今後これらのデータを精査して読み取っていかなければいけないのでしょうねぇ…
…というわけで。
しつこいようですが、シダムシ日記は(備忘録として)しばらく続きます…
【飼育研究部 森滝丈也】