夏イベント「トバスイ体験クエスト」は盛況です。
色々な体験ができる中、こんな標本展示も大人気!ラッコやビーバーの毛皮、本物の骨格標本も触れる体験コーナーです(3階特別展示室で開催)
個人的に興味深いのはアフリカマナティーの骨格標本(これは触ることができませんが)
当館で18年間飼育していたメス個体です。
今回、初めてまじまじとアフリカマナティーの頭骨を見ましたが、少し意外な気付きがありました。
それは目を取り囲む骨「眼窩輪(がんかりん)」
アフリカマナティーがこんなにはっきりとした眼窩輪を持つなんて初めて知りました。
眼窩輪は例えばヒトなど霊長類では発達していますが、哺乳類全体で見ればこれを持つものは少数派のようです。
ちなみに、視力が発達したグループで眼窩輪が形成される傾向にあるそうです。
例えばネコなんかもそう。
それでは、同じコーナーで展示されているジュゴンはどうでしょうか?
これは、マナティーの方がジュゴンよりも視力が良い、ということを意味するのでしょうか…?
マナティーの方が濁った水中に棲息しているけれど、はたして…?
もう一度、真横からアフリカマナティーの頭骨を観察してみます。
そういえば…館内にはもう一つアフリカマナティーの頭骨がありました(こちらは非公開)
19年前、アフリカで私が初めて目にしたリアルマナティー、若いオスのものです(残念ながら発見時既に死亡していました)
確認すると、やはり眼窩輪は発達していましたが、前述の「はるか」に比べると目の後方に少し隙間がありますね。
個体差なのでしょうか?それとも性差?
果たして実際にマナティーの視力が良いのかハッキリしませんが、例えば眼窩輪の有無と視力の関係について考えながら展示を見ると、いろいろな発見ができて面白いですよ。オススメです。
【飼育研究部 森滝丈也】