磯などでカイメンの仲間をよく見かけますよね。
柔らかなスポンジ状のアレ。
…と言うか、スポンジ(sponge)が元々カイメンを意味する語なのですけど。
この、浅瀬で見かけるカイメンのほとんどが尋常海綿というグループに属しますが、深海には六放海綿(ガラス海綿)と呼ばれるグループが生息しています。
レースのように繊細で美しい、このカイメンの骨格はシリカ(二酸化ケイ素)で作られています。
これは↑結露防止で使用している乾燥剤(シリカゲル)。鍋で湿気を飛ばして毎日再利用しています。
シリカゲルもシリカ(二酸化ケイ素)ですが、ガラスもシリカが原料ですね。
だから、六放カイメンの骨格はまさにグラスファイバー。
拡大するとその緻密な造形美が際立ちます。
ところで、水族館の深海コーナーでは同じ六放海綿の一種「カイロウドウケツモドキ」を飼育・展示しています。
これ、本来ならもっと背の高い壺状なのですが、入館直後に上半分が崩壊してしまいました。
で、その後3年半はずっとこの形を保っています。
はたから見て全く成長しているようには見えませんが、果たしてこれで生きているのでしょうか?
元々、動きのある生きものではないですし、目に見えて刺激に反応するわけでもない。
実際のところ、生きているのか、よくわかりません。
ただ、骨格だけではなく、細胞(らしきもの)も存在しているようなので、生きているんじゃないかと思っています。
ゆっくりとゆっくりと成長しているのでしょうか。
おそらく、この仲間は成長が遅く寿命が長いのでしょうね。そこで少し調べてみました。
すると…驚いた!
ウィキペディア先生によれば「この仲間の寿命はとても長いが正確な年齢を測定するのは困難である」としながらも、「Scolymastra joubiniという種類では年齢が23000年(!)と推定される」とのこと。
また、さまざまな動物の年齢が掲載されたAnAge Databaseでは15000年(!)以下と書かれていました。
に、にまん?…なんですか、その年齢は!(笑)
となると…まさか、水槽のあのカイロウドウケツモドキも…
ひっそりと目立たない「へんな生きもの」の不思議な魅力がまた一つ見つかりました。
出典 Susanne Gatti(2002). “The Role of Sponges in High-Antarctic Carbon and Silicon Cycling – a Modelling Approach”. Ber.Polarforsch.Meeresforsch
Hexactinellid information from the AnAge Database