当館で孵化したオウムガイ、現在、3個体を飼育しています。
孵化個体として飼育日数世界記録を更新中の♂の№131と、雌雄同体疑惑が浮上している№149…一応♀、そして♀の№150の3個体。
孵化個体は他の野生個体とは隔離して小型水槽で飼育しているのですが、昨日その水槽の底にうれしいものを見つけました。小さな卵です。
生殖巣の発達具合からして、おそらくこの卵は№150が産んだのものでしょう。№150にとって初めての産卵になります。
残念ながら、中身の卵黄はあったものの卵殻形成が不完全な異常卵だったので、すぐに標本固定していましたが、水槽内で生まれたオウムガイが成熟して産卵すること自体、大変珍しいことなので、うれしいニュースです。
世界中のどの水族館もオウムガイ孵化個体の産卵には成功していないのでなおさらです。
実は、当館でも孵化個体で産卵に成功していたのは、今回の№150を含めても過去に※3個体しかいないのです。
※№10(生存期間 ’96.7.28~’99.8.25)、
№113(’04.8.20~’07.8.19)、
№150(’09.7.24~生存中)です。
過去の2個体は孵化後2年と1ヶ月ほどで産卵しはじめたので、№150は少し遅めですね(2年6ヶ月)。
あ~なんとか、飼育下での累代繁殖に成功したいのですが、これがなかなか難しい。もうこの目標自体、十年以上も掲げているような気がします…
今の代もヨボヨボ♂と、雌雄同体疑惑のコだから、産卵はしても次の代が孵化するのは可能性低いだろうなぁ…
ところで、野生のオウムガイは成熟するまで孵化後8年ほどかかると考えられています。飼育下ではなぜ早く産卵するようになるのか?大変興味があるのですが、そのあたりは今後の研究によって徐々に明らかにされていくものと思います。
最後に、以前の飼育日記でも紹介しましたが、オウムガイ№131、150、149の殻の中身を紹介したいと思います(こうやって雌雄判別するのです)