先日、日頃お世話になっている業者さんからヤマトトックリウミグモがとれたとの連絡がありました。
実はウミグモはクモの仲間ではなく、海産の節足動物の1グループ。長い脚が特徴的で、脚だけの生きものに見えることから、「皆脚類(カイキャク類)」とも呼ばれています。体は頭部・胸部・腹部の3つに分かれていて、4対の歩行肢が胸部から出ていますが、体(胴体)のスペースがあまりに少なくて、消化器官や生殖巣など内臓の多くが脚の中にまで入り込んでいるほど。
ヘンな生きものです(笑)。
ヤマトトックリウミグモは深海に生息するのですが、ウミグモ類の中では比較的大型でよく目立つので、水族館では時々展示されます。
普段、入館するのは「手のひら」にちょうど載るぐらい、脚の先から先まで10㎝ぐらいでしょうか?
ホント脚だけ!っていうインパクトある姿をしています。
個人的にすごく好きなフォルムです。
ところで、先日入館したのはかなり小型の個体でした。
その証拠に…いや、その前にウミグモの脚の話を少ししたいと思います。
実は、成体のウミグモは頭部にも3対の脚を持っています。
頭部から生えている脚は触角の代わりや卵を守る役割などがあり、歩行には使われません。
一方、卵から孵化したばかりのウミグモの幼生は3対の脚だけしか持っていません。
この3対が将来、成体の頭部の脚になり、4対の歩行肢は脱皮しながら徐々に生えそろうそうです。歩行肢は、脱皮を繰り返す度に、成長に伴って1対ずつ生えてくるそうです。
さて、入館した小型の個体をよく見て下さい。4番目の歩行肢がまだ短く、完全なものではないのがわかるでしょうか?
この短い、不完全な脚を見れば、この個体がまだ幼若体だということが判るのです。
一対ずつ生えそろえて最後の4番目。はじめのうちは短くても、何回か脱皮をして歩行肢は長くなっていくのです。
成体と同じ姿になるまであと少し、といった頃合いでしょうか?