先日の土曜日、志摩半島の漁師さんから頂いたハナウミシダが入館しました。
近海で見られるウミシダ類の中ではカラフルで腕の本数も多くゴージャス!
ウミシダ類の多くは反口側(体の裏側)に岩などにつかまるために用いる「巻枝」がはえているのですが、ハナウミシダはほとんどの個体が巻枝を持ちません。
この個体は珍しく3本だけ残っていました(どの程度珍しいかは不明)
口側(表側)を見ると…おぉ!私の大好物な光景が広がっているではないですか!
矢印の部分、コブ状に膨れています。
ここには、たぶん寄生虫が入っていると思うんですよ!(嬉)7つはあるなぁ。
このコブの中に入っているのは、たぶんスイクチムシの仲間だと思うんですよね、内部寄生性の。
実は去年も死んだハナウミシダから内部寄生性と思われるスイクチムシを見つけたことがあります。
肉厚で全体的にボリュームがあり、背面には突起がたくさん。全長4mmほど
その時は、既にハナウミシダの体表はドロドロになっていたので寄生状況は不明だったのですが、今回は状態が良いのでよく分かります。
スイクチムシはウミユリやウミシダに寄生する生物で、こう見えてもゴカイなどと同じ環形動物。
以前は、その特殊な形態から独立したグループ(吸口虫綱)と考えられてきましたが、最近の研究では寄生生活で形態が特殊化したゴカイの仲間(多毛綱)と考えられているようです。
よく目にするのは外部寄生(共生)するタイプで、ウミシダの体表をはい回っています。
一般的にあまりなじみがない生きものですが、形態が面白いので意外にダイバーの被写体として人気があるようです。
さて。
今回見つけたハナウミシダのコブの中に、はたしてスイクチムシがいるのか、どうか?
切開して確認してみなければ判らないのですが、そうするとハナウミシダが死んでしまうわけで…
とりあえず、ハナウミシダはスイクチムシ?を宿したままへんな生きもの研究所で展示しました。
【飼育研究部 森滝丈也】