昨日、オウムガイ飼育なら鳥羽水族館、ということで自宅でオウムガイを飼育されている方が飼育方法を聞きに来館されました。
それも茨城県から日帰りで!
驚きましたが、そんな評価を受けることは嬉しいですね。
さて。
そんなオウムガイ類は対面で交接します。
オスは口の左側にある大きな交接腕を使ってメスに精包を渡します。
現在、水槽にいるオオベソオウムガイは4匹。
時々、交接している姿を見かけます。
交接を見かけると、そのまま見守らずに…そっと引きはがします。
なぜなら4匹ともオスだから。
オオベソオウムガイの入手は簡単ではなく、メスの補充ができないまま…でも交接行動はときどき観察されます。
オス同士で交接するとお互いの交接腕がぶつからないかと心配になるのですが、対面で交接するということは、つまり同じ利き手の人が握手するのと同じようもので不便はないのでしょう。
ところが。
オウムガイ類の交接腕は口の左側にある、というのが定説ですが(どの本を見てもそう記述されています)なぜか、オオベソオウムガイではかなり高い割合で右側に交接腕を持つ個体がいるのです。
これは本当に不思議で、オウムガイ(Nautilus pompilius)ではまだ確認したことはありません。
例えば最近では2008年に入った5匹のオスのうち1匹が、2011年に入った6匹のオスのうち3匹が、2013年に入った7匹のオスのうち2匹が右利き(右交接腕)でした。
現在は4匹のうち1匹が右利きくん(№82)
ノーマルな左利きと右利きが交接する場合、交接腕がぶつかるので嫌がって避ける傾向にあるんじゃないかなぁ…興味があります。
確かによく見かけるのはノーマル同士(左交接腕)の交接行動のような…
今回もそうでした。
どこまで本気の交接か気になるところですが、ひきはがして確認すると…お!交接腕(矢印)の近くに精包が!
精包(矢印)
ということで、オス同士でも精包の受け渡しをする場合があると今回初めて確認できました。
【飼育研究部 森滝丈也】