鳥羽水族館60周年記念日の本日も通常運転、相変わらずのネタです。
個人的にロクソソマという生物が好きなので、最近はこいつらが広く認知されるよう暗躍しています…(笑)
ロクソソマは内肛動物という、マイナーなグループに属する生きもの(ロクソソマ科)
通俗名(「○○の仲間、○○類」と呼べる名前)すら持たないほどの超マイナー生物ですが、学生のころにロクソソマの解剖模式図を見てぞっこん惚れてしまった結果(他にも色々と理由はありますが)就職先を水族館に決めたわけですから、この生物には思い入れがあります。
マイナーだけどとても魅力あふれる生きものです。
そんなロクソソマの中のロクソソメラ属の一種(Loxosomella sp.1)がダイオウグソクムシの脚に付着していることに気が付いたのは、去年の9月。
これまでにこの飼育日記では何度か紹介していますが、おそらくまだどこにも報告(研究論文などで)されていません。ロクソソマの仲間が節足動物から発見された報告例すらないと思います。
こちらがダイオウグソクムシから見つかったロクソソメラ属の一種(私はソメラ1号と呼んでいます)。
ロクソソマの仲間は触手の生えたワイングラスの様な姿をしています。
両脇からはえているのは芽体(幼体)で、このようにこの仲間は無性生殖でも増殖することができます。
実は、過去にもニューカレドニアに生息するオオグソクムシ(Bathynomus richeri)の脚に付着したロクソソメラの仲間を見つけたことがあります(矢印:2013年に確認)
触手が短く、本数も多いですね。
現在、このロクソソメラが付着していたニューカレドニアオオグソクムシは死亡してしまい、残念ながら、もうこのロクソソメラの生きた姿は見ることができません。
しかし、ニューカレドニアオオグソクムシとダイオウグソクムシに違う種類のロクソソメラが付着していたことから、もしかしたら世界中の18種類いると言われるグソクムシ(Bathynomus類)にはそれぞれ特有のロクソソメラが共生しているのではないか?という気になりました。
日本近海に生息するオオグソクムシにもいるのでしょうか?
今のところ付着は確認できていませんが、オオグソクムシにも特有のロクソソメラが付着していてもおかしくないはずです。
そんな仮説をいつの日か証明できれば興味深いのですが…
どこかのオオグソクムシに体高1mm以下、触手の生えたワイングラス型生物が付着していたら…ぜひ教えてください(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】